蔦野白の日常あれこれ

蔦野白の日常の出来事を、やたら大袈裟に壮大に書くことを目的としたブログ。

アニメ「王様ランキング」第2クールオープニング、Vaundyの「裸の勇者」に気持ちを掻き乱され過ぎた話

202218日、土曜日。年が明けて1週間を過ぎたと言うのに、1年の内でクリスマスとお正月が一番好きなハッピー&ぱっぱらぱ〜な私は、ショッピングモールの入り口に飾られた草臥れつつある門松から僅かな正月の残り香を嗅ぎ取り、何とか心の均衡を保とうとしていた。味のしなくなったガムをいつまでも噛み続けるような無駄な足掻きだとは分かっているものの、そうでもしなければ年始の労働に耐えられそうになかったのだ。

 

一度病気をやってしまった心と体はあまりにも弱い。その日もギリッギリまでお布団の中でぐずり倒し、30分で人前に出られる程度の身支度をし、何とか始業に間に合うこれまたギリッギリの電車に飛び乗って事なきを得るという慌ただしい朝だった。まさに、細かすぎて伝わらないモノマネの「終電にギリギリダッシュで走り込むも平然を装う人」状態である。恥ずかしさに車内を見回すものの、休み明け最初の土曜日だからか乗客も疎らだ。端っこの席を陣取りようやく一息吐くと、もわもわと温かい暖房に連れられて眠気がやって来る。

 

(ああん……乗り換えがあるから居眠りこくわけにはいかんのじゃ)

 

一度意識を失うとマスクの中が涎の大洪水になるくらいガチ寝してしまうので、何とか眠気に抗おうとスマホを手に取り、はたと気が付く。

 

(王様ランキングの12話、もう放送されてるんじゃない?)

 

「王様ランキング」とは昨年から私がどハマりしているアニメのことだ。アニメを全話見てから読もうと積読中だが、年末年始のDMMブックスポイント還元で原作漫画も全巻購入した。ご存知ない方のためにあらすじを説明しておこう。強大な力を持つ巨人の王の息子として生まれながら、小さく非力な王子・ボッジ。耳が聞こえず、上手く話すことができないボッジは国民にまで馬鹿にされていた。そんな彼が仲間と共に世界一立派な王様を目指して奮闘する冒険ファンタジー、それが「王様ランキング」だ。優しくて可愛い絵柄からは想像できないシリアス展開、魅力的なキャラクター。力とは何か、愛とは?正義とは?人の心の柔いところに刺さりまくるお話に、私は毎回ズビズビに泣かされてきた。そして、いよいよ戦いが始まる!というところで年内の放送は終了。年明け最初、12話の放送を心待ちにしていたのである。

 

(うん。眠気も吹っ飛ぶぜ!!)

 

今回は号泣展開は無さそうだし、何よりこのまま職場に行っても12話が気になって仕事どころでは無い。よっしゃ!今見よう!ということで、スマホのアマプラを起動した。その結果、タイトルのようなことになってしまったわけだが、ここから先は「王様ランキング」の12話を見たことのある方向け、キャラクターの説明とかは無しでひたすら想いの丈を叫び続けるだけの仕様なので、ネタバレNGな方は先にアニメを見てきてちょうだいね。お付き合いくださる方は続きへGO!まずは共にこの素晴らしいオープニングを見て欲しい。

 


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「力が伴う悪意振り解いて」

 

力が伴う悪意振り解いて!!!!!!

 

号泣展開は無いと高を括っていた自分を恥じた。もう正直最初の影絵のシーンのバックで聞こえる息使いからこれとんでもない力量の歌手によるとんでもないオープニングが始まるんじゃないかとは思ってたけど、すごすぎじゃない……?語彙センスが圧倒的。こんなのある程度人間社会で生きて「力が伴う悪意」に曝されたことのある人みんな泣くでしょ!?あと、この人は悪意への解像度がめちゃくちゃ高い。そうなんですよ、力を伴うってところが重要なんですよ……これを振り解くのがどれ程大変か。悪意自体と戦う方がまだ簡単で、振り解くというのは自分の心との戦いだから。あと、力が〜で草花が咲き乱れるシーンからの盛り上がりがすごい。私は咲き乱れる草花とか馬が駆けるシーンにめっぽう弱いのだ。もう冒頭に私の涙腺を刺激する物、ほぼ全部詰まってんじゃんか。

 

「力はいらない身に任せて」

 

力はいらないと言える、それこそが強さなんですよね!!ボッジ〜〜〜!!!作中でも当初、父王のような身体的強さを欲していたボッジ。君が、君が「強さはいらない」という歌詞をバックに夜の道を1人勝ち気な顔で歩いているのを見て、私は、私は……

ああ、強くなったんだね。ボッジ。泣いてしまう、もう本当に泣いてしまう。それから「身に任せて」の歌い方が最高ちゃうか?本当に川の流れに身を任せるかのような曲線を感じる歌い方で、表現力がすごい。

 

「愛してしまった全部全部」

「降りかかった呪いも全部」

「もう愛してしまった想いを全部」

 

まず最初に「愛してしまった」の言い方がめっちゃ好き。そしてこれたぶん、愛してしまったというところがポイントですよね。愛した全部と愛してしまった全部じゃ、まるで意味が違う。原作未読勢にとって未だ謎に満ちた女性・ミランジョ。かつての王・ボッスは彼女を愛してしまった、ということ……?それがあの真意の見えない行動に繋がっているのだろうか。幼少期のミランジョとボッスと思われる2人が手を繋ぎ、森を走る姿が印象的だ。そして、降りかかった〜のアニメーションの表現よ。ボッジの足に纏わり付くどす黒い血のような何か。これぞまさに「呪い」だ。呪いは掛けられた人の自由を奪い、動けなくしてしまう。私もこれを読んでくれているあなたも、誰かに呪いを掛けたり、逆に掛けられたりしないよう周りを思い合って生きていこうね。あと、もう愛してしまった想いを全部って、ああ……これめっちゃ分かるよ……どんなに酷いことをしてもされても、させられても、かつてその人を愛した事実が消えて無くなることは無いからね。

アピス、ドーマス、ダイダ。三者三様。だから「もう愛してしまった想いを全部」自分の持ち物として連れて行くしか無い。うん、人生だな。

 

「守れる程の光を」

 

この歌詞をバックに3つの愛が見事に表現されるわけなんですが、ミツマタ〜〜〜!!!べビンの優しい手に心を許して懐くミツマタが愛しい……そしてそんなミツマタを優しく撫でるべビン……微笑む口元だけを映す演出も非常に良い。個人的にはミツマタがべビンの右手に鼻先を包まれているシーンがすごく好き。もう愛しかない。そして2つ目の愛はカゲとお母ちゃん。大好きな母ちゃんがいなくなっても、与えられた愛が無くなることはないんだよね。その愛はちゃんとカゲの中で息付いているんだから。そして3つ目の愛。ヒリング〜〜〜!!!知ってるよ!!あなたすごく良い人で良いお母さんなんだよね〜〜〜!!!義理の息子であるボッジを優しく抱き締めるヒリング。鼻を伝う涙に胸がぎゅっとなる。やはり愛しかない。

 

そして出てきた!出てきた!デスパーさん!!私、デスパーさんがかなりとっても大好き。不完全だからこそ人は魅力的で愛おしい、ということを体現している人だと思う。そう、私たちは完璧じゃなくて良い。不得手なこと、できないことがあって良い。自分に合う生き方、戦い方を見付けようとボッジを鍛える彼に私も励まされた。

 

「影は迫る『お前はなんだ』と」

 

最後、ヒリングに背を向け振り返り、カゲと手を繋ぐシーン。すごく象徴的ですよね。ヒリングの加護から抜け出し、自分の人生を歩み始めたボッジ。城の中で母と家臣に守られるだけの日々に別れを告げ、自分の足で行きたいところへ行き、自分の力で人との関係を築く。それが数秒に凝縮されてることが本当にすごい。カゲの問いに、いつの日か胸を張って答えるボッジを見たら間違いなく泣くだろうなぁ……

 

(ねぇ……このオープニングを見て、今から仕事に行くんか?)

 

もうぶっちゃけ休んでやろうかと思った。号泣は免れたものの、両目の縁があっついんだわ……こんな壮大な曲を聴いて、アニメーションを見て、今から仕事?仕事なんかしてる場合じゃない。今すぐ旅に出なければ。そう思ったが仕事には行った。社会人なので。

 

もちろん速攻で曲も買った。アホな私は「裸の王様」と間違えて、購入に随分と手間取った。アニメ「王様ランキング」の第2クールオープニングはVaundyの「裸の勇者」だよ!!みんな間違えないようにね!!

 

フルバージョンももちろんすごいからね。322秒の中に一つの旅が詰まってるんよ。表現力も素晴らしくて何かもう舞台を観たような気分になる。もちろん声もめちゃくちゃ良い。物語性のある曲が好きな方、自分をちっぽけだと思える程の壮大な世界観がお好きな方にはぜひぜひ聴いてほしい。

 

音楽には疎くて(というか大体のことに疎い)Vaundyという歌手を初めて知ったんですけど、一回調べ出したらとんでもない沼に嵌りそうな予感しかしなくて未だ調べられず……ユパ様。私、自分のオタクな性が怖い……

 

ということでオタクの叫びは以上です。こんなに気持ちが昂って掻き乱された曲は久し振りかも。とりあえず今から落ち着くためにモスに行って行きます。期間限定の獺祭シェイク飲みたいんじゃ。それではまた。